シロアリを完全に駆除するには、プロでないと難しいと言われています。
その理由は、シロアリの駆除には生体・行動・薬剤の専門知識だけでなく、専門の道具・保護具なども必要となるからです。
プロにシロアリの駆除を依頼する際、どのような方法があるのか知っておくと、依頼時の説明を受ける際にも理解が早く依頼しやすくなるはず。
今回はプロが行う代表的なシロアリ駆除の方法の一つ、ベイト工法についてお話しします。
ベイト工法
「ベイト工法」とは、アメリカで開発されたシロアリ駆除の方法のこと。
バリア工法と比べると使用されるようになったのは最近で、新しい駆除方法です。
ベイト工法の場合、ベイト剤と呼ばれるいわゆる毒餌を駆除剤として使用します。
ステーションという円柱のようなケースの中にベイト剤を入れてセットし、家の周辺に一定の間隔で埋め込んだら設置完了です。
毒餌にはシロアリが好む木材の成分であるセルロースの基材に、薬剤が混ぜられています。
シロアリは餌を見つけると巣に持ち帰る習性があるので、この習性を利用して毒餌であるベイト剤を巣へ持ち帰らせ、巣も根こそぎ全滅させるのがベイト工法の特徴です。
ベイト工法のメリットは?
近年ベイト工法が注目されている理由は、メリットが沢山あるからです。
ベイト工法のメリットとは・・・
- 1. 気になる臭いがない
- 2. 使用する薬剤量が少なくてすむ
- 3. 変わった造りの建物にも対応できる
- 4. 人・赤ん坊・ペットにも無害
- 5. 巣も確実に駆除ができる
上記5点が挙げられます。
もう少し詳しく見ていきましょう。
気になる臭いがない
バリア工法で使用する液状の薬剤も臭いが少なく作られてはいますが、施工直後は臭いが気になるというお声もあります。
バリア工法は床下での作業が主ですから、少なからずカビ・土・埃が室内に入り込んでしまうことは避けられないないでしょう。
雨の日となると床下の地面が濡れ、臭いを感じやすくなる傾向がみられます。
一方、ベイト工法の作業は室内ではなく、外で行います。
建物周辺に設置しますから、臭いだけでなく、カビ・埃が室内に入ることもありません。
使用する薬剤量が少なくてすむ
ベイト工法で使用する薬剤は、バリア工法で使用する薬剤と比べると約2000分の1程度で済むと言われています。
これは、バリア工法は建物の床下全体に液剤を撒くのに対し、ベイト工法は固形の毒餌を建物周辺とはいえ等間隔で設置すればいいからです。
ベイト工法は少ない薬剤でも、バリア工法と同じくらいの効果が得られるのがメリットなのです。
変わった造りの建物にも対応できる
ベイト工法は床下に潜って作業する必要がなく、建物の周辺に設置して駆除する方法ですから、例え複雑な形状の建物であっても、処置することが可能です。
有名なところでいうと、浅草寺・比叡山延暦寺・日本民家園・自由の女神・ホワイトハウスといった多種多様な建築物のシロアリ対策に採用されています。
また、床下に入れない建物、配管が入り組んだ建物であっても、床下に入る必要のないベイト工法であればシロアリ駆除が可能なのです。
人・赤ん坊・ペットにも無害
「うちには犬・猫がいるけど害はないのか?」と気になる方は多いでしょう。
ベイト工法ではIGR剤という薬剤を使うのですが、IGR剤には昆虫の脱皮を阻害する効き目があります。
脱皮が出来ないシロアリは成長できずに、息絶える仕組みとなっています。
要するに脱皮を行わない人間をはじめとした哺乳類・鳥類・魚類には、悪影響はありません。
脱皮をする爬虫類には悪影響を及ぼしますので、注意が必要です。
また、ベイト工法は専用のケースに薬剤を入れ地面に埋め込みますから、掘り起こさない限り薬剤に触れることは無いでしょう。
巣も確実に駆除ができる
シロアリは巣に餌を持ち帰る習性がありますので、これを利用して毒餌を巣に持ち帰らせて巣にいるシロアリも全て全滅させられるのがベイト工法のメリットです。
とはいえ「シロアリが毒餌に気が付かなければ効果がないのでは?」と、思われたかもしれません。
確かに設置場所次第では、シロアリが気が付かず効果が得られないこともあります。
しかし、ベイト工法の駆除期間は長期的に計画されるのが一般的です。
ステーションのメンテナンスの頻度や、どんな間隔で設置するのかなど考慮した上で仕様が作られます。
気が付かれなかったステーションはシロアリの動きを観察した上で移動し、シロアリが食いつくよう対処しますので、ご安心ください。
また腐朽が進んだ築年数が古い建物や、床下で基礎断熱を採用している建物の場合、バリア工法では上手くバリアが形成できないことがあります。
こういった建物にも効果を発揮するのがベイト工法です。
地面の下を生きるシロアリを巣から根こそぎ駆除しますので、全滅させることが出来ます。
ベイト工法のデメリットは?
メリットの多いベイト工法にもデメリットがあります。
ベイト工法のデメリットは・・・
- 1. 費用が割高である
- 2. 効果を発揮するまで時間を要する
- 3. ある程度の敷地が必要
- 4. 正しい施工・手順で必要となる
- 5. 外来種のシロアリには効き目がない
上記のような5点です。
もう少し詳しく見ていきましょう。
費用が割高である
ベイト工法はバリア工法と比べると、一般的に1.5倍から2倍ほどの費用がかかります。
バリア工法の場合、一度の施工から5年間は保証されます。
一方ベイト工法の場合は、契約更新が1年単位であることが多く、5年経過した費用を比べるとベイト工法の方が高額になっていることが多いのです。
出来るだけ安くシロアリ駆除したいという方には、不向きの方法と言えます。
効果を発揮するまで時間を要する
ベイト工法でのシロアリ駆除はバリア工法と比べると、効果を発揮するまでに時間を要します。
ベイト剤を設置した後、シロアリがベイト剤を見つけて巣の中へ持ち込み、巣内での効果が伝播されなくては駆除することが出来ないからです。
ベイト工法は多くの場合、数ヶ月から半年程度で効果を実感できるので、長期的な駆除方法となります。
また、もし効果が発揮されても継続することが重要です。
ですが、一旦効果が見られシロアリが居なくなると、もう大丈夫だと思い設置をやめてしまいがち。
しかしここでやめてしまうと、ベイト工法の「常に駆除出来る状態になっている」利点が活かされません。
次にいつシロアリが発生するかは予知できませんから、常に駆除出来る状態になっていることが最も大きなメリットでもあるのです。
ある程度の敷地が必要
建物がある敷地の状態によっては施工が出来ない場合もあります。
例えば、敷地全体がタイルやコンクリートでステーションを埋められる土・砂状の地面がない、または敷地の幅が30から40cm以下で隣の家との境界が狭すぎると難しくなります。
正しい施工・手順で必要となる
ベイト工法は半年から1年に一度程度の点検が必要です。
それよりも多いと、神経質で用心深いシロアリの特性からステーションへの定着の妨げになってしまいます。
また、タバコや他の薬液に触れた手でベイト剤に触れると臭いが移り、シロアリがベイト剤に寄り付かなくなってしまいます。
正しい知識のない施工者が作業を行うと、このようなミスが起こり得ます。
依頼する際には信頼できる業者であるか、しっかりと見極めましょう。
外来種のシロアリには効き目がない
東京都江戸川区で定着が確認され、日本各地で生息報告が広がる外来種のシロアリ「アメリカカンザイシロアリ」には、ベイト工法が効きません。
その他日本で行われる一般的なシロアリ駆除であるバリア工法も、外来種のシロアリには効き目がなく駆除できません。
アメリカカンザイシロアリは建物の木材に直接入り込む生態で、予防や駆除が難しいシロアリと言われており、「燻煙(くんえん)処理」と「液剤注入処理」で駆除します。
アメリカカンザイシロアリを駆除できるかどうかは、業者によって異なりますので、依頼する際に相談しましょう。
ベイト工法を頼むとどのくらいの費用が必要?
業者によっても価格差がありますが、ベイト工法を頼んだとき一般的な価格がどの程度なのか知っておきたいものです。
ベイト工法の大まかな施工費は13万円程。
5年トータルで考えると30万円程となっています。
上記は、1階床面積50㎡・建物外周長30mの場合の費用ですから、広範囲になるほど費用は高額になります。
業者へ依頼する際の目安として考えましょう。
それぞれの状況に合わせてチョイスすることが大事
一般的なシロアリ駆除方法のひとつである「ベイト工法」について、施工方法やメリット・デメリットなども含めてご紹介しました。
状況やご希望次第で合う工法が決まります。
シロアリ駆除を依頼したいとお考えの方は「費用」「埋め込みできる敷地があるか」「緊急ではないか」などの希望を明確にしておくと、工法が選びやすくなるでしょう。
前述した通り、手順や方法を間違うと効果が得られないのもベイト工法の特徴でもあります。
必ず、知識と経験が豊富な業者を見極めてから、ご依頼することをお勧めします。
数々のシロアリ駆除を行ってきた「シロアリの緊急駆除センター」では、お客様の状況やご希望に合わせたプランをご紹介いたします。
また、ご予算などがありましたら合わせてご相談いただくと、どの程度までの施工が可能かなどもご提案することが出来ますので、是非お気軽にご用命ください。