日本にいるシロアリは22種類と言われ、その中でも主に建物に被害を及ぼすシロアリは5種類で、その中でも殆どの被害がヤマトシロアリ・イエシロアリによるものだと言われています。
ですが近年増えているのが、外来種のシロアリ、アメリカカンザイシロアリによる被害報告です。
アメリカカンザイシロアリとはそんなシロアリなのでしょうか?
また、もし自分の家のシロアリ被害がアメリカカンザイシロアリによるものであれば、どう対処すればいいのでしょうか?
今回はアメリカカンザイシロアリの生態や処置の方法などをご紹介します。
アメリカカンザイシロアリってどんなシロアリ?
シロアリは一般的に湿った場所や湿った木材を好む昆虫ですが、一方アメリカカンザイシロアリは、乾いた状態の木材であっても中にある僅かな水分でも生きることができる、レイビシロアリ科で「乾材シロアリ」とも呼ばれるシロアリです。
元は日本に居なかった種でしたが、輸入の建材や木材、家具の輸入などを経て運び込まれ、1976年に初めて東京都江戸川区で発見されました。
アメリカでは西部カンザイシロアリと呼ばれ、カリフォルニア州を中心に猛威を振るい、今では世界じゅうに分布しています。
ヤマトシロアリやイエシロアリは蟻道・蟻土を作り、地面に接している柱などから伝い建物に被害を及ぼしますが、アメリカカンザイシロアリは土壌を介さず、空中から飛んできて家屋の二階から入り、水分の無い乾いた木材をも餌にします。
木の中に巣をつくるので、ヤマトシロアリやイエシロアリのように蟻道や蟻土は作りません。
また、温度変化や環境湿度の影響も受けにくいという特徴があります。
アメリカカンザイシロアリの見た目
アメリカカンザイシロアリの巣となるコロニーの群れ内では、階級が存在します。
また、階級により見た目にも違いがあります。
アメリカカンザイシロアリの階級と階級別の見た目の特徴をご紹介します。
擬職蟻
ぎしょくぎと言い、巣作り・エサの確保・ほかのシロアリの世話などが生業のアリです。
体長は約5mmから8mm程度、日本のヤマトシロアリやイエシロアリと比べると大きめです。
兵蟻
へいぎと呼ばれ、兵隊アリ的な役割です。
体長約10mm程で頭部と顎が大きく、体の色は白くて頭部は褐色です。
シロアリの種類の判別でもっとも見分けやすい特徴があります。
有翅虫
ゆうしちゅうと言われる、他のシロアリと同じく翅の長さが4枚似た長さの翅を持つ羽アリです。体長は約7mm程度だが、翅を入れると10mm以上のサイズ。
ニンフ
卵と幼虫の世話・給餌を行う役目があり、 いずれ羽アリか副王・副女王となるので、生殖虫候補のアリ。体長は約7mm程で見た目が擬職蟻とよく似ている脱皮前の有翅虫です。
落翅虫
らくしちゅうと言われる有翅虫の翅を落とした状態のアリで、新しい女王や王になります。
体長は約7mm程。
生殖虫
せいしょくちゅうと呼ばれ、落翅虫の腹部を発達させたような見た目で、他のシロアリと同じく基本、オスとメスが一緒に行動しています。体長は約10mm程度。
アメリカカンザイシロアリの繁殖スピード
つがいになった生殖虫が作る巣であるコロニーの成長具合は、数か月で2頭から5頭のアリが孵化する程度で、2年目でも1頭の兵蟻と12頭から20頭程のアリがいる程度で、日本のシロアリと比べるとさほど早い繁殖力があるとは言えません。
そして5年目には800頭、10年目には1800頭といった具合に緩やかに増えていきます。
本場のアメリカでは1000匹以上になることもあるようですが、日本の住宅に使用する木材のサイズからすると、増えても数百匹程度だと言われています。
アメリカカンザイシロアリが厄介なところは、1つの建物に1つの巣という訳ではなく、1つの建物内にいくつもの巣がばらばらに点在しているところです。
この緩やかな繁殖具合で早い段階でのシロアリ被害に気が付きにくく、いくつもの巣が点在することで駆除を難しくさせています。
アメリカカンザイシロアリの被害とは?
アメリカカンザイシロアリは空を飛んでやってきて、乾いた木材も餌にして食べてしまいます。
そのため、床下だけに留まらず、屋根裏や小屋組材といった家屋全体に被害が及びます。
また木材を残さず食べる習性があり、餌になった木材は空洞状態です。
アメリカカンザイシロアリの被害に遭った家屋は、耐震強度が著しく低下してしまうため、中程度の地震で倒壊した事例も本場アメリカでは報告されています。
ヤマトシロアリやイエシロアリと比べると、食害による信仰が緩やかであることから、アメリカカンザイシロアリが家屋に浸入し被害の兆候に気が付くまでは、数年かかるとも言われ、早期発見しにくいと言われています。
その上、駆除方法が確立していないこと、巣が点在する特徴から再発率が高いことなどが理由でアメリカカンザイシロアリによる被害は広がりやすい傾向にあります。
アメリカカンザイシロアリの見つけ方
アメリカカンザイシロアリによる被害の見つけ方は、糞を見つけるか群れをなして飛んでいる姿を見るか、のどちらかです。
アメリカカンザイシロアリの糞は「糞粒」といい、均一な俵型をした乾いた粒状の特徴的な糞です。
長径約1mmで黄色から褐色で、6本の筋が入った粒状の糞ですから、もし見つけたら糞のある直上を確認してください。
木材や天井であれば少し叩くと糞が落ちてくるのではないでしょうか?
もし落ちてきたらその木材がメリカカンザイシロアリの巣となっています。
しかし糞がある状態はある程度被害が信仰している状態で、初期では糞を見つけるのは難しくなります。
新鮮な木のくずや木屑の小さなまとまりを見つけたり、翅を見つけたら住みついて間もない状態の可能性が高いです。
アメリカカンザイシロアリが群れで飛ぶ「群飛」は毎年6月から10月の間の日中に見られます。移動可能範囲は数十mから数百m程度で、生存率も高く、1つの建物の中に複数の巣が発見されることもしばしばあります。
巣を見つける探知機として、超音波探知機・聴診器超音波探知機・マイクロ波探知機なども利用します。
アメリカカンザイシロアリの駆除の仕方
日本のシロアリの駆除方法である、薬剤散布の「バリア工法」や毒餌を巻いて巣まで全滅させる「ベイト工法」はアメリカカンザイシロアリには通用しません。
アメリカカンザイシロアリは発見や駆除の難しさから、まだ日本での完璧な駆除方法が確立されていないのです。
本場アメリカでのアメリカカンザイシロアリの駆除方法は、家屋全体をテントで覆って毒ガスで駆除する「天幕燻蒸処理」や天幕燻蒸処理と同じようにテントで覆って、毒ガスの代わりに熱風を送り込んで駆除する「熱風処理」といった方法が取られていますが、日本で行うには向いていない方法でもあり、普及していません。
現在日本で行われている駆除方法は「穿孔注入処理」と「ホウ酸塩処理」です。
順番にご紹介します。
穿孔注入処理
せんこうちゅうにゅうしょりと言われる方法で、被害に遭った木材に穴をあけ、薬剤を直接注入する方法です。
ヤマトシロアリやイエシロアリの駆除でも採用されている駆除方法で、アメリカカンザイシロアリには乾材シロアリ用駆除薬剤を使用します。
業者によってはホウ酸やムース状の薬液を使用することもあるようです。
被害箇所の特定が必要不可欠となる処理方法ですから、高い技術と豊富な経験によって効果も変わってきます。
ホウ酸塩処理
アメリカカンザイシロアリにはホウ酸も有効で、新築住宅のシロアリ対策で近年定番になりつつある方法でもあります。
人間をはじめとする哺乳類は仮にホウ酸が体内に入っても、腎臓で分解し尿で排出しますが、腎臓のないシロアリはホウ酸を一定量食べると分解・排出できず、エネルギー代謝もできなくなり死んでしまうのです。
ホウ酸は揮発性がなく、一度施工すると半永久的に効果が続くメリットもあります。
しかし水に弱く屋外で使用できないこと、木材全てにホウ酸を染み込ませておく必要があります。
アメリカカンザイシロアリの被害に遭わないよう予防しよう!
国内ではアメリカカンザイシロアリの駆除方法が確立されておらず、その上根絶しにくい特徴もあります。
日頃からアメリカカンザイシロアリの被害に遭わないよう、予防できるならしたいですよね。
アメリカカンザイシロアリは、輸入木材や輸入家具に付いて侵入することがあります。
輸入製品から家屋へ被害が広がるケースもあるので、輸入製品を購入した時は、家具に小さな穴が開いていないか、木くずや糞が付いていないかなどの確認を忘れないようにしましょう。
日頃から気を付けていても、シロアリ駆除が必要となることもあります。
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