シロアリを駆除する薬剤は市販でも多く出回っていますが、敷地全体にいるシロアリとなると実は素人で駆除するのは大変難しく、シロアリを完全に駆除するには、プロに依頼するのが一番だと言われています。
その理由は、シロアリの駆除には生体・行動・薬剤の専門知識や専門の道具・保護具なども必要となること、そして床下の作業には時に危険も伴うからです。
シロアリの駆除の業者へ依頼する際、どのような方法があるのかあらかじめ知っておくと、依頼時の説明を受ける際にも理解が早く、業者選びもスムーズで依頼しやすくなるはず。
今回はプロが行う代表的なシロアリ駆除の方法の一つである、バリア工法についてお話しします。
バリア工法について
シロアリ駆除が行われる際、最も一般的な方法が「バリア工法」です。
液剤工法・液剤施工とも呼ばれ、その名のとおり、液体状の薬剤を使用して作業します。
多くの業者で「スタンダードプラン」や「基本プラン」を選ぶと施工されるのは、このバリア工法となるでしょう。
バリア工法は、建物の床下に液状の薬剤を撒いてシロアリを退治しながら、同時に予防としてシロアリが侵入できないよう、建物周辺にバリアのような処置を行う施工方法です。
また床下だけに限らず、建物の構造に合わせて玄関・浴室などへの液剤の注入処理も行えます。
即効性が期待できる工法ですので、いち早くシロアリを駆除したいという場合に向いている工法ともいえます。
バリア工法について
先ほどお話しした通り、シロアリの習性を利用した工法であるバリア工法は、施行後に「早い効果が得られる」のが特徴です。
シロアリは地面である土の中に巣を作り、活動するのが基本ですので、シロアリが建物に侵入するには、地面から繋がった柱や基礎を伝ってのぼるしかありません。
またシロアリは、太陽の光・空気の流れ・乾燥を嫌い、暗く湿った部分を好みます。
シロアリの生体や習性から見ても、建物の外部からではなく、床下が侵入経路となるのです。
床下に薬剤で処理し侵入経路を遮断してしまえば、駆除と一緒に予防もできるというわけですね。
作業時は床下に作業者が潜り、木材部分と土壌部分を中心に薬剤での処理を行います。
床下前面に薬剤散布を行いますので、シロアリからすると見えないバリアがあり、侵入できない状態となっています。
その上バリア工法なら、シロアリの被害がある場所へ直接薬剤を注入して駆除を行えるため、素早く被害を食い止めることも可能なのです。
バリア工法のメリット
バリア工法はメリットが多いため、一般的なシロアリ駆除方法として広く普及しています。
バリア工法には・・・
- 1. 素早い対処が可能である
- 2. 5年間は効き目が持続する
- 3. 費用が一番安価
上記のようなメリットが挙げられます。
ではもう少し詳しく、順番に見ていきましょう。
素早い対処が可能である
前述した通り、バリア工法の最大のメリットは被害箇所へ直接の対処が出来ることです。
これにより素早い効果が期待でき、被害を最小限に抑えることが出来ます。
バリア工法に使われる薬剤にはいくつか種類があり「即効性に特化したもの」「残効性と遅効性のあるもの」といったように、状況に応じて選べるのも大きなメリットです。
5年間は効き目が持続する
バリア工法は、一度施工すると約5年間の効き目が保証されています。
施工時に生き残ったシロアリがいたとしても、5年間はシロアリが侵入するのを予防してくれるでしょう。
バリア工法で使われる薬剤は、自然に分解されるよう設計されているため、5年の保持期間となっています。
5年の効き目というのは、環境に配慮された安心・安全な薬剤である証拠でもあるのです。
費用が一番安価
他の工法と比べると、5年間のコストが最も安価なのもメリットのひとつですね。
多くの業者がシロアリ駆除の方法として運用していること、工法が統一されていること、一度の施工で5年間効き目が保証されることなどが、安価に処置できる理由となっています。
バリア工法のメリット
メリットの多いバリア工法にも、もちろんデメリットがあります。
バリア工法のデメリットは・・・
- 1. 家の中にも処理が必要となる場合がある
- 2. 家の構造によっては穴を空ける必要がある
- 3. 使用する薬剤の量が多い
- 4. 外来種のシロアリには効き目がない
上記の3点が挙げられます。
こちらももう少し詳しく見ていきましょう。
家の中にも処理が必要となる場合がある
市販品の殺虫剤や芳香剤などが原因で具合が悪くなったことがある「化学物質過敏症」の方がご家族にいらっしゃるお住まいの場合は、バリア工法はお勧めしていません。
シロアリ駆除に使用する薬剤は、基本床下に撒くので室内に入ってくることはなく、安全面についても哺乳類には無害であるとされ、赤ん坊やベットにも無害だと保証されています。
近年の薬剤は揮発性も殆どなく、多くの場合は室内の汚染された空気を吸うことで、様々な体調不良を引き起こすと言われる「シックハウス症候群」の原因にもならないと言われていますが、化学物質過敏症は、身の回りにある製品に含まれたごく微量の化学物質が原因で、身体的・精神的な症状が現れる病気です。
アレルギー疾患に似ている症状ではありますが、発症の仕組みなど分からない点も多いので推奨していないのです。
化学物質過敏症の方はシロアリ駆除業者に依頼する際、その旨を忘れずに伝えておきましょう。
家の構造によっては穴を空ける必要がある
バリア工法は床下での作業が必要となります。
シロアリ駆除をバリア工法で依頼したいけれど、床下に通じる出入口がない建物の場合、まずは床下へ通じる出入口を設置する必要があります。
また床だけでなく、壁にも薬剤を注入する為の穴をあける必要が出てくるかもしれません。
施工中はもちろん、施工後しばらくは換気も欠かせません。
使用する薬剤の量が多い
バリア工法は敷地全体に薬剤を散布する必要があるため、どうしても使用する薬剤が多くなります。
床下を中心に散布するとはいえ、全く家の中に侵入しないとも言い切れません。
すでにお話しした通り、化学物質過敏症など薬剤に敏感な方にとってはデメリットとなります。
また犬や猫などの哺乳類には影響がないと言われていますが、魚類や爬虫類のペットを飼われている場合は、特に注意が必要です。
外来種のシロアリには効き目がない
東京都江戸川区で定着が確認され、日本各地で生息報告が広がる外来種のシロアリ「アメリカカンザイシロアリ」には、バリア工法が効きません。
その他日本で行われる一般的なシロアリ駆除であるベイト工法も、外来種のシロアリには効き目がなく駆除できません。
アメリカカンザイシロアリは建物の木材に直接入り込む生態で、予防や駆除が難しいシロアリと言われており、「燻煙(くんえん)処理」と「液剤注入処理」で駆除します。
アメリカカンザイシロアリを駆除できるかどうかは、業者によって異なりますので、依頼する際に相談しましょう。
バリア工法を頼むとどのくらいの費用が必要?
業者によっても価格差がありますが、バリア工法を頼んだとき一般的な価格がどの程度なのか知っておきたいものです。
バリア工法の大まかな施工費は13万円程。
1度施工すると効き目が5年間保証されます。
ベイト工法は5年トータルで考えると30万円程かかると言われていますので、バリア工法の費用はかなり割安になることが分かりますね。
上記は、1階床面積50㎡・建物外周長30mの場合の費用ですから、広範囲になるほど費用は高額になります。
業者へ依頼する際の目安として考えましょう。
希望や状況次第で工法をチョイスしよう
一般的なシロアリ駆除方法のひとつである「バリア工法」について、施工方法やメリット・デメリットなども含めてご紹介しました。
明確にどちらが優れているシロアリ駆除方法かというものはなく、状況やご希望次第で合う工法が決まります。
シロアリ駆除を依頼したいとお考えの方は「費用」「床下には潜れるのか」「緊急ではないか」「脱皮するペットはいないか」などの希望を明確にしておくと、工法が選びやすくなるでしょう。
前述した通り、バリアの層が上手く形成できないことには、効果が得られないのもバリア工法の特徴でもあります。
必ず、知識と経験が豊富な業者を見極めてから、ご依頼することをお勧めします。
数々のシロアリ駆除を行ってきた「シロアリの緊急駆除センター」では、お客様の状況やご希望に合わせたプランをご紹介いたします。
また、ご予算などがありましたら合わせてご相談いただくと、どの程度までの施工が可能かなどもご提案することが出来ますので、是非お気軽にご用命ください。