皆さんはシロアリがどのように住宅に侵入しているのかご存知でしょうか?
「どこかから飛んでくる?」「土の中からでてきて隙間から家の中に入る?」と思われる方も多いでしょう。
外から飛んで侵入してくることもありますし、土の中から出てきて家の隙間から入ることも間違いではありませんが、ほとんどの場合、シロアリは専用の通り道である「蟻道」を作って侵入してきます。
シロアリ駆除業者のホームページでもしばしば目にする「蟻道」とは、どういったものなのでしょうか?
今回は蟻道についてと、シロアリがどのような経緯で住宅内に侵入してくるのかをお話しします。
シロアリはどうして「蟻道」を作るのか
シロアリは建物に侵入するために、なぜ蟻道を作るのでしょうか?
それにはまず、蟻道とはどんなものなのかをお話しする必要があります。
蟻道とは?
住宅の基礎になっているコンクリート部分や、外壁に筋のように土の塊がついているのを見たことはありませんか?
筋のような土でできた模様のようなものが、シロアリの作る「蟻道」です。
蟻道とは、普段地中で生きるシロアリが地上を移動する際に作る、土の塊などでできたトンネル状になっている道のことです。
シロアリに蟻道が必要な理由
シロアリは日光や乾燥した環境を嫌います。
普段地中に生きるシロアリにとって地表の環境では乾燥してしまいますし、他の生物によって捕食されることもあり、生きていけません。
そこでシロアリが安全に移動するために、蟻道を作るのです。
蟻道から始まるシロアリ被害
蟻道が家のどこかにある、ということはその家はシロアリ被害に遭っている可能性が高まります。
ここではシロアリが蟻道から、どのように住宅を食害していくのかを見ていきましょう。
蟻道から木材に到達する
シロアリは蟻道を作ることで、何者にも見つかることなく地中から餌となる木材まで到達します。
一般的に床下から被害が広がるシロアリ被害は、このような理由で床下から発生するのです。
住宅のどこかに蟻道があるということは、その家はシロアリに目をつけられた家ということ。
一見被害に遭っていないように見えても、木材を割ってみると中はすっかりシロアリに食害されている、ということも珍しくありません。
たとえば、地面に接地しているのが木材ではなく、コンクリートなら大丈夫なのでは?と思われるかもしれませんが、シロアリはコンクリート部分に蟻道を作り、餌となる木材のある場所までたどり着きます。
木材のうわべに蟻道を作って入り込む
シロアリは木材のうわべにも蟻道を作り、継ぎ目や木口面から内部にどんどん入り込みます。
木材の内部に入り込んだ後も、表面を伝うように蟻道を伸ばし進むことも。
縦横無尽に蟻道を伸ばし、どんどん木材を食害してしまいます。
蟻道を作る箇所
住宅内にシロアリが蟻道を作るのは、多くの場合が床下となります。
柱や地盤から飛び出している基礎の立ち上がりに作ることが多く、他にはエアコンの室外機の裏側や日陰になっている壁に作ることもあります。
シロアリが蟻道を作らないところは日光が当たる場所以外ないと言っても過言ではないほど、素材を問わずに蟻道を張り巡らし、木材までたどり着きます。
以下では蟻道が見つけられた、住宅のさまざまな場所をご紹介します。
床下
たとえ土間がコンクリートで固められていても、蟻道は作られます。
コンクリートで固められているため、シロアリが侵入できる隙間はないように思えますが、コンクリートは経年と共に収縮する性質があり、必ず隙間が発生します。
0,6mmの隙間があればシロアリは侵入できると言われていますから、たとえ土間がコンクリートであっても侵入は免れません。
束柱
多くは束柱は束石という土台の上に作られますので、地面と接地していないから大丈夫だろうと思われるかもしれません。
しかし束石にも蟻道を作って、シロアリは木材まで行きつきます。
床の束柱に鋼鉄製のものを使う住宅も増えていますが、シロアリは鋼鉄にも蟻道を作り木材まで侵入します。
ベタ基礎
近頃の住宅はほとんどベタ基礎で立てられますが、たとえベタ基礎であってもシロアリは蟻道を作り侵入してきます。
この場合、基礎際の水抜き穴や基礎固定金具の周辺から侵入するケースが多いです。
また、配管・配線の貫通部分や、玄関まわりも侵入しやすい箇所として挙げられます。
基礎断熱
基礎断熱にも、シロアリは蟻道を作ります。
基礎断熱は高気密・高断熱住宅で使われており、シロアリ被害に遭うと被害が進むまで気がつかず、被害が大規模になってしまいがちです。
近年では使用する断熱材を防蟻成分が入ったものにしたりと対策されていますが、いまだに被害の多い箇所となっています。
配管
給水管には凍結防止に断熱材を巻いた配管を使用します。
断熱材はシロアリに食害されることもあり、非常に狙われやすい材料です。
ですから配管と断熱材の間は蟻道が作られやすい場所となっています。
また、断熱材が巻かれていないプラスチック製の配管にも稀に蟻道を作ることがあります。
化粧モルタル・タイル張り
基礎の表面部分はきれいに見えるよう、化粧モルタルやタイルが施されます。
しかし経年とともに劣化すると基礎とモルタルやタイルの間に隙間ができ、この隙間にシロアリが入り込んで蟻道を作ることがあります。
床下を見ても蟻道が見当たらないのに住宅にシロアリ被害がある場合は、このような状態で住宅へ侵入していることもあります。
蟻道はシロアリ被害の足がかり
シロアリが必ず蟻道を使って移動をするということは、蟻道があればシロアリの被害に遭っている場所であるともいえます。
ですから蟻道はシロアリ被害を探すヒントにもなるのです。
数ミリの大きさしかないシロアリを床下で見つけるのは困難でも、蟻道を見つけることは容易となります。
シロアリ駆除業者が点検時に床下に侵入するのは、この蟻道を探しているのです。
蟻道はシロアリだけが作るの?
シロアリは蟻道を作って移動するとお話ししましたが、実は蟻道を作るのはシロアリだけではありません。
シロアリ以外にも黒アリをはじめとした一般的なアリも蟻道を作ることがあります。
中でもトビイロケアリなどのケアリ類が、住宅に侵入する際は蟻道を作っているケースが多いです。
一見すると見分けがつきにくいのですが、それぞれ特徴があるのでじっくり観察すると見分けることができます。
以下は各アリが作る蟻道の特徴をまとめた表です。
もしご自分の家で蟻道を見つけたら、シロアリによるものかアリによるものか観察してみましょう。
シロアリの蟻道 | ・手で軽く触っても簡単に崩れない ・表面が固まっている ・土の固まりのような見た目をしている |
ケアリの蟻道 | ・表面が柔らかく固まっていない ・ふわっとした手触り ・木くずで作られている |
ケアリの仲間は、腐った木材に巣をつくる習性があり、木材のくずなどを材料にして蟻道を作ります。
一見するとシロアリによる蟻道と似ていますが、触ると柔らかくて固まっていません。
一方シロアリの作る蟻道は、土を固めたような見た目でコンクリートや木材などにしっかりと張りついています。
力を入れるとボロボロと崩れますが、少し触ったくらいでは壊れません。
土の塊のようにしっかりとくっついた蟻道であればシロアリの蟻道で間違いないでしょう。
蟻道を見つけたらシロアリ駆除業者へ相談しよう
蟻道とは何か、また住宅のどういったところで蟻道が作られやすいのか、そしてシロアリ以外にも蟻道を作る昆虫がいることもお話ししました。
上述したシロアリの蟻道の特徴と重なる蟻道を、家の敷地内や住宅のどこかで見かけたら、できるだけ早急にシロアリ駆除業者へ相談しましょう。
専門業者であれば、シロアリによる蟻道なのか、その他の昆虫による蟻道であるか見分けがつきます。
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